キャンドル作りには欠かせない着色カラーである顔料や染料についてお話します。あくまでもキャンドル職人が使う立場としての見解なのでご理解くださいね!
キャンドルの色付けは大きく分けて「顔料」と「染料」になります。それぞれ個体であったり粉末であったり液体など様々な状態の物が販売されています。作るキャンドルの用途や目的により使い分けも出来ますが、今回は基本的に知っておくべき事を中心に解説します。
一番多いご質問としては、顔料と染料は何が違うの?という事です。文章での例えが難しいのですが、染め物をイメージして頂き、布の端切れに染料を含ませた場合は布の繊維自体を着色します。白かった繊維に赤の染料を加えれば赤の繊維になります。そのもの自体を着色するのが染料です。では顔料はどうなるかと言うと、繊維の隙間に入り込むだけで繊維自体を着色している訳ではありません。外観では染まっている様に見えますが、混ざり込んでいる様な状態です。これが大きな違いです。なのでキャンドル制作の場合で考えると染料はワックス自体の色を変えますが、顔料はワックスの粒子の隙間に混ざり込んでいると解釈して下さい。
顔料・染料にはそれぞれ長所と短所があります。この性質を理解すると制作時の目的や使い分けが出来ますので参考にして下さい。
顔料の長所・短所
顔料は先程解説した通り、ワックスそのものを着色する訳ではありませんので、顔料自体の粒子はワックスの中で常に存在しています。多く混ぜすぎると沈殿したり、燃焼時に芯の目詰まりを引き起こしたり、炎から黒煙が出やすくなったりなどの現象が現れます。その反面、発色がシャープなのでイメージしたキャンドルの色合いや風合いを出すには大変使いやすい素材です。また染料に比べて紫外線による色の退色スピードが遅いので、長期保存していても比較的色合いを保持してくれます。価格的にも染料に比べ安価ですので、普段使いとしては顔料が一般的と言えます。
染料の長所・短所
染料は解説の通りワックスそのものを着色しますので顔料の様に沈殿する事はありませんが、やはり多く入れすぎると混ざりきらない染料が分離してしまいます。この点は顔料も染料も多く入れすぎるのは良くない点です。利点としてはシャープな色合いを出す顔料と比べ、淡い色合いや透明感のある色合いが染料では可能です。また顔料では出来ない色の浸透力があります。例えばキャンドルの底部に青色に着色した染料を使い、キャンドル上部に黄色の染料を使います。中間部は着色せずに白い色のままで完成させます。上から黄色・白・青のキャンドルです。すると時間の経過で青色と黄色が淡い色で徐々に浸透して広がっていき、青と黄色が混ざった中間部分が緑色に変化します。グラデーション模様やマーブル模様を作り出すのには染料が向いていると言われる理由です。色合いが常に変化していくのが染料の魅力です。ですがその反面、染料は紫外線の影響を受けやすい素材でもあります。直射日光や室内の強い照明などに照らされ続けると色がどんどん薄く退色してしまいます。最終的には白っぽいキャンドルに戻ってしまいます。価格面ではやはり顔料に比べ高くなります。
この様に顔料・染料のどちらも一長一短なのですが、作る用途や目的に応じて選ばれる事が良いと思います。そして大事なのは素材自体の品質になります。「顔料」「染料」と言っても様々な品質グレードが存在しています。品質が悪い物は不純物が多かったり、分離しやすかったり、場合によっては有害な物質が含まれている可能性も無いとは言えません。価格だけでの判断は出来ませんが、信用できる販売店でお求め頂くのが一番良いと思います。
当店では品質の確かな顔料を販売しています。

取り扱い顔料を紹介する動画チャンネルも御覧下さい。